第65話

唯一の救いは貴ちゃんがこの場に居ないってことだけ。


居たら間違いなく暴れていただろうし、そこは鉢合わせしないで本当に良かったと思う。




しかし、絶対に私が男といたって貴ちゃんに話すだろうなぁ…、この子。


電話口から聞こえてきたあの笑い声を思いだせば、私に敵意があるのは明白。



何なら貴ちゃんのことが好きで私の存在を疎んですらいそうだ。



だったらもう、あげるから上手く貴ちゃんを落としてきてよ、と思う。


平和的にお譲りしたい。


痣のアップグレードなんて嫌。


ましてやお揃いのオバケ顔なんて冗談じゃない。 


私達は平和にお酒を飲みたいんだから。

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