第43話

「技とか逮捕とかの前に、まずは別れてこい」


「そうしたいとは思ってるけど。なかなか決心がつかないの」


「そうしたいとまで思ってるのか。かなり進歩じゃねーか」




ごまかすように週刊誌を手に取った私に光弥みつやが目を見開きながら言う。



あまりの驚きように、兄貴から撫でられていたキューピーまでもが『何かあった?』と言いたげにキョロキョロし始めた。



傍に近寄り、何でもないよ。と宥めるように頭を撫でる。




まぁ、確かに。


光弥の言うとおり。



少し前まで『絶対に別れたくない』と言っていたんだから、それを思えば少し進歩したと思う。



その成長したキッカケが村田との浮気だと思うと、なかなか複雑だけど。



言わなきゃ兄貴達には、わかりっこないことだ。

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