第13話

堪らず顔を胸に埋めると、あっくんは私を抱き締める力を強めた。




切なくて、悲しくて、辛い……。



さっきまで、そんなネガティブな感情でいっぱいだったのに。




私の体を包み込むあっくんの腕は、それらを簡単に溶かしてしまうくらい温かくて。




「もう……、知らね。ハードボイルドだとか、優しいヤツだとか、クソ食らえだ」



「あっくん……」



「俺、お前が好きだ。たとえお前が誰を見てようと意地でも心を掻っ攫う」





胸の中で顔を埋めていた私に、気持ちをハッキリと告げてきた。




「……あっくん、私のことが好きなの?」




聞かされた言葉が信じられなくて、ついつい確かめるような言葉を投げてしまう。




だって、告白されるとは思ってなかったし……。




急には信じられない。




でも、あっくんは……。




「そう。だから、俺と付き合ってよ。遥奈」




半信半疑だった私に真摯な顔で優しく言った。




思わず涙も止まって顔が綻ぶ。




嬉しくて、幸せで。




「もちろん。私もあっくんが大好きだから」




私も素直な言葉と一緒に、あっくんを痛いくらいに抱き締め返した。

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