『閉じ込めピーコ』

第55話

「ピィィィィコォォォッ!!」



夕暮れ時の校庭。古ぼけた飼育小屋の前。


私の大絶叫が辺り一面に響く。


放課後。『飼育小屋に来い』と書かれた手紙が机に放り込まれてあるのに気づき、指示された通りノコノコとこの場所へ来て今。



昔ながらの飼育小屋の中。金網の奥でピーコが震えながら縮こまっている。



扉には南京錠。


鍵を保管している職員室まで往復15分。



待っていられるか!と思わずガシャンッと音を立てて金網に大突進。


叩いたり蹴とばしたりぶち破ろうと必死になる。



菜々ななちゃんっ⁉どうしたのっ⁉」



私の声に驚いたのか生徒会室の窓から小春こはるが凄まじい形相で顔を覗かせた。


その横から出てきた理央りおも焦りを滲ませた顔で何事かと身を乗り出す。



「ピーコが……!ピーコがぁ……!」


「ピーコがどうしたのっ?」


「ピーコが殺られるぅぅ!」


「ええっ⁉」


「早く出してぇ!早くぅぅっ!」



堪らず再び絶叫。


心配してくれた小春に事情を説明しようと叫ぶが、涙も相俟あいまって上手く話せない。


「鍵が欲しい」と伝えるので精一杯。

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