第44話

「すみません。嫌です。直接、本人のところに行ってください」


「あ?俺の頼みを断るつもりか?テメェ」


「はい。あなたに付き合ってたら、この後の授業に遅れますし」



ぱっと視線を地面に落とし、怒りだしたツンキーの横をそそくさと通り抜ける。



許せツンキー。

 

この後の授業は英語。


遅れた日にはミセス優子(英語教師)からのキツイお仕置きが待っている。



この間やられたお仕置きは英語のリスニング耐久150分コースだった。


今回はきっと単語学習300問コース、正解するまで帰れません、だ。



それだけは避けたい。



「待てコラ。逃げんなや!」


「待ちません。あっち行って」


「あ?偉そうに何様だよ、テメェ!」


菜々なな様です」



しかし、ツンキーはしつこい。


急いで廊下を歩く私の後を同じ速度で追いかけてくる。


すれ違う生徒が変な目で見ているのに全くお構いなしだ。


私が頷くまで引かない勢い。

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