第17話

「どうやって出すんだよ」


「付いてきてくれたら教えます」


「またそれか。しつこいなー」


「コンロにこびり付いた焦げよりもね」


「ドヤるな。反省しろ」



腰に手を当て得意げに顎を上げた私に澤田君は呆れたような表情を浮かべてくる。


あしらわれている感が半端ない。


しかし、結構攻めたことを言いまくっているわりには空気が穏やか。まだキレられていない。




「んー」


「渋りますね……」


「そりゃそうだろ」


「何がそんなに嫌なんですか?」


「言われた通りにやるのが嫌。命令されたくねーの」


だからもう放っておいてくれ、と澤田君は至極面倒くさそうに眉を顰めて私に言う。


迷っているくせにだ。


メチャクチャ頑固。


仕方ない。こうなれば奥の手を使おう。



「わかりました。じゃあ、生徒会に誘うのは一旦ヤメにします」


「一旦かよ」


「いやぁね、実はコッチの話の方がメインなんですよ」


「まだあんの?」


「はい。澤田君の頭の良さを見込んでお願いしたいことがあるんです」



そう言って私は制服のポケットから一枚の紙を取り出した。


規則正しく問題の並んだ社会のテスト用紙。


先日受けた中間テストのやつだ。赤ペンで書かれた点数は19点。今の私の実力である。

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