第82話

オイルライターで煙草に火を点けながら、ニヤリと口に弧を描いて…。



口調こそは軽かったけれど、迷ったり悩んだりする度に私はその言葉に何度も背中を押されてきた。


もう…言ってくれる本人は居ないけど…。



それにしても驚いた。


せいぜい鼻で笑って終わりか、返ってきても“ふーん”の一言だと思ってたのに。


一応、意見をくれるあたり、唯の意地悪な人かと思ってたけど違ったみたいだ。




「あ、」



感心しつつ、ふとノンちゃんの家に目を向けると、庭の灯籠が輝いてるのが見えた。


家に電気も点いてるし、帰って来たのかも知れない。

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