第34話

カラン、コロン、と下駄を引き摺る音が通りに響く。



午後22時。


木造の古風な建物が建ち並び、どこか懐古的な気持ちにさせる和の街を全速力で駆け抜ける。



料亭や小料理屋が栄える通りに入り、石畳の小路を通り抜け、神社の鳥居の前を走り抜けた瞬間、木の枝が擦れて桜の花びらがふわっと宙を舞った。




着物と下駄と髪飾り。


綺麗に結った髪に濃いめのお化粧。



およそ走るには不向きなファッションで走ってるせいで、人とすれ違う度に何事だ?とジロジロ見られる。




……もう嫌になってきた。

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