第2話
★
「待たなくていいのに」
頬を撫でる潮風がポツリと呟いた言葉を掻き消す。
午後19時。
港から出航した大型のクルーザーが、汽笛を鳴らし、乗客を乗せてゆったりと3時間の旅に出る。
上品かつ豪華に装飾された船内は、船の中とは思えないくらい煌びやか。
真っ白な船体が闇夜に映え、水面に反射した都会の光が、スカイデッキの照明と合わさり私のピンクの振袖を優しく照らす。
約500名が参加する船上パーティー。
日本舞踊の師範である中村豊子(なかむらとよこ)先生の還暦祝賀会で、名の知れた名家の方々やお弟子さん、豊子先生のファン、その他関係者が集まっている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます