第81話

「……そうなんだ。その人、よく遊びに来たりするの?」




探るようなことを聞いてしまったのは、ほぼ無意識だ。



現状がどんな感じなのか把握出来ていないと怖いのかも知れない。


どれだけ仲が良いのか、何処まで話す仲なのか、探りを入れないと落ち着かなかった。



入れたところで意味なんかないのに。




「最近はな。親父に呼ばれてよく家に顔を出してる」


「へぇー……」


「ほんと、婚約、婚約、って煩い。あいつだけは好かんわ」


「うん…」


「暇さえあれば不気味な絵ばかり描いとるしの。薄気味悪いったらない」




腕を擦りながらぶつぶつと呟くノンちゃんの声を、何処か遠くに感じながら聞く。


絵って…、どんな絵だろうか。


自分の絵も含まれていないかと不安になる。

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