第67話

「じゃあ、毎日電話して、会う度にキスマークを付けて、消えるまでに会いに来て下さい」


「分かった」


「本当にいいんですか?」


「構わねぇ。他は?」


「他は…って」



頷いた先輩を食い入るように見つめる。


本当にいいんだろうか。


只でさえ色んな人に囲まれて忙しそうに見えるのに。




「もっと他にあるだろ。優しくしてくれとか、どっか連れてけとか、指輪を買ってくれ、とか」


「言われて来たんですか?」


「例えだよ」




思わず質問を飛ばした私に先輩は苦々しい笑みを零す。


過去の女の話は聞くなと言われているようだ。


サラッと払われた気がする。



それにしても気にしてちょっと妬けてる時点でやっぱり私は嫉妬深い。


紛れもなく抱き締められてる最中なのに。


自分は心の中で別の人を思ってるのに…。

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