第57話
「だから言いたくなかったんだよ」
大きな溜め息を吐きながら先輩は肩を落として項垂れる。
嗚咽を漏らす私の顔をじっと見ながらイライラと膝を揺らして「泣くな」と一言。
眉間に皺を寄せた怖い顔で。
怒ってる…。そう思ったら尚更ショックだった。
優しい先輩を見た後だから余計に怒りが心に染みる。
「そ、そんな、怒んなくたって…っ」
「怒ってんじゃねぇ。考えてんだよ」
「考えてる…?」
「認める訳にもいかねぇし、許す訳にもいかねぇし。それでも泣かせたくねぇから考えてんだろ」
そう言われ、心が少し落ち着き「本当に?」と問いながら先輩に1歩近付く。
すると腕を引っ張られ、ソファに膝が付いたかと思ったら、次の瞬間には先輩の腕の中に居た。
私の顔を覗きながら溜め息を吐いて“どうしようもないなー”って感じだ。
顔は依然として冷たいままだけど。
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