第15話
「でも、お前気ぃ付けろよ?加賀さんの女ってバレたら利用しようとする奴がワラワラ湧いてくっから」
「そんなに?」
「あぁ。少なくとも拉致って三ツ星と交換しろとかほざく奴は掃いて捨てるほど居るだろうなぁ」
「えー」
「実際、何の関係もねぇやつが勘違いされて拉致られたりとかもあったしな」
腕を組んで真顔で語る熊。
マジか。先輩も苦労が絶えないな。
三ツ星を付けてるってだけで抱えるものが大きすぎる。
そもそも、あれに3億円も賞金が賭けられてるなんて、やっぱり信じられない。
質の悪い冗談じゃないかと思う。
「それで女作んなかったのもあるんじゃねぇかぁ?守るもんがあると弱点になるからな」
「弱点…」
「ま、それでも好きならしょうがねぇじゃんか。止めらんねぇのが愛、そうだろ?メルファ」
私の肩をガシッと掴んで阿部さんはニカっと笑う。
同じくニッコリ微笑み「頑張ります」と返したが内心複雑だ。
弱点…。先輩と付き合った日には本当にそうなってしまうんだろうか。
なら彼女って言わない方が良かったんじゃないかと思う。
ただでさえ、ブラックベリーに狙われてる私はリバティーに取って爆弾みたいなものなのに。
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