第82話



「直接言えばいいのに、わざわざ回りくどい事をやって。言い返されるのが怖いのなら出しゃばらずに黙ってたらどう?」



デスクを叩く激しい音と罵る私の声が社内に広がる。



ついに作戦を決行し始めた今日この頃。



さっそく悪口が書かれた手紙を渡された。



『陰険女、早く会社から出てけ。うざい、鬱陶しい、存在が迷惑。ほんと嫌い。消えて欲しい』など長文で。



それも誰が渡したか分からないようにデスクの中にこっそりと。


名前は無し。



しかし、筆跡に特徴があるから誰が犯人かは既に分かっている。


社員Aさん。


ポニーテールと眠たそうな目と黒い眼鏡が特徴的な女性。


字が正確で綺麗すぎるから直ぐにピンと来た。



そこで見て直ぐ『これ、あなたが書いたんですよね?』と聞いた。


最初は『さぁねー』と誤魔化していた社員Aさんも字の事を指摘すると諦めたらしい。


嫌そうに顔を顰め『あんたうざいのよ』と犯行を認めた。

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