第73話

悩んだ末に2人を止めようとドアノブに手を掛ける。


しかし、その刹那せつな、今城さんが萌の顔を見て小馬鹿にするように“ふっ”と鼻で笑った。


貴女、墓穴を掘ったわね。とでも言いたげに。




「貴女、言ったわよね。桑子さんの性格の悪さを私が知らないだけだって」


「そうよ。あの人本当に意地が悪いんだから。皆、言ってるでしょ」


「あら、だったら別に何の問題もありませんわね」


「え、」


「だってそうでしょう?性格の悪さを知らないくらい桑子さんは私に優しくして下さってるんです」


「………」


「でしたら私には何の害もないですし。心配して頂く必要もありませんわ」





話を終了させるように言った今城さんに萌は不満そうに顔を顰める。


絶対負けて堪るか!って顔で。



おいおい、まだ諦めないのか!と思いつつ、部屋の中に入るのを止めて様子を窺う。

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