第72話

「ちょっと貴女、失礼ね!桑子さんは性悪なんかじゃないわ。とっても優しい方よ」



今城さんが立ち上がって腹立たしげに言う。


断固拒否、徹底抗戦、萌なんかに負けるかって表情。



そんな風に庇って貰うのなんて初めてで、ちょっと感動してしまう。


いつもは悪口に花が咲いて悪役コースまっしぐらなのに。


やっぱり今城さんは良い子だ。




「いいえ。あの人は優しくなんかないわ。だって顔からして陰険じゃない!」


「陰険なのは貴女の方じゃなくって?影で私にベラベラと。陰湿よ」


「そんな、私は今城さんの心配をして……」


「それはどうも。別にして頂かなくて結構よ」


「もー、何それ。本当の事なのに。今城さんはあの人の性格の悪さを知らないだけだって」




好きと嫌い、両極端の言い合いが加速していく。



萌のやつ今城さんを味方につけようと必死だ。


もっと上手く言えばいいのに、とすら思えてくる。




しかし、もう今城さんは怒りかけ寸前。


爆発5秒前。


ヤバそう。


凄い入り辛いけど、2人を止めた方がいい?



止めた方が……、いいに決まってるよね。

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