第54話

「初めまして皆様。只今部長様からご紹介に与りました、今城白実と申します。至らない点も多々あると思いますが、何卒優しい目で宜しくお願いします」



えらく畏まった口調で自己紹介をした今城さんは、両手を揃えてペコリと綺麗な角度でお辞儀をする。



いかにもお嬢様っぽい仕草だ。


やっぱり本物のお嬢様っぽい。


またどうしてうちの会社にお嬢様が?


えらくキャラが濃いのが入って来たな…。と思ってたら、今城さんが私の顔を見て驚いたように目を見開いた。




「まぁ!あなたはあの時の優しい方!」


「…はい?」


「私です、私。覚えていらっしゃらない?先月の始め頃に大変親切にして頂いたのですけど」


「えーっと」


「あぁ、どうしましょう…。またお会い出来るなんて嬉しい。もうずっとずっとお会いしたいと思ってたんです」




ラメでも振り掛けたんですか?ってくらいキラキラと顔を輝かせ、今城さんは私の手を取り、両手で包み込むようにぎゅっと握る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る