第42話

その結果、次第にどんどんアホらしくなっていき、どうでも良くなり、もういいかつまらんわとなり、言わせておくかと去っていくんだが、向こうは諦めてくれず『言い返えされた!言い返えされた!』とヒヨコが後を付いてくるように、こちらに来る。



もうその頃には凄く面倒くさくなって、何とも思わなくなってるのに放っておいてくれない。


しつこく、しつこく、来る。



私に放つ罵倒の種類が『何なのムカつく、鬱陶しい、お前きしょい』と、料理を覚えたての親父が出す夕食のレパートリーみたいな少なさになってしまってるのに必死に来るのだ。



新作の悪口を出さない。センスのある悪口を出さない。


悪口の言い合いなんて相手より多く悪口の種類を言えた方の勝ちなのに、全然諦めてくれない。



必死に“親子丼、牛丼、カツ丼”と固定された丼ぶりメニューのような同じ悪口を言い続ける。



もう私はパエリアでも食べたい気分なのに。



そしてキーキーとヒステリックを起こされ、構って構ってと喚き散らし、無視かよムカつくと悔しがったかと思ったら、最後は何故か私が相手をイジメたって話に擦り変わってる。



あんた嫌がらせしたでしょ!最低ね、って。



こちとら、おいおい何の話だ?知らねーぞ。である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る