第24話

「別にいいじゃん。飯くらい」


「う、うん。そうなんだけど」


「それとも嫌?」


「嫌じゃない!嫌じゃないよ。ほんと」


「んじゃ、行こ」



思わず挙動不審になってしまったが、肩を叩かれ素直に立ち上がる。



まぁ、ご飯に行くくらい大丈夫でしょ。多分。



何か言われたら『あ、忘年会の三次会するの忘れてたんで代わりにやっときました。さーせん』とでも言えばいい。


うん。



それに悪役ライフを楽しんでやるって昨日決めたところだし。


むしろ、受けて立つくらいの気持ちで居ればいい。


そうよ!私は勝つのよ!


勝って勝手やるんだから。




「お腹空いたね」


「空いた~。早く食べたい」




そんなことを考えながら私は会社を出た後、伊那君とご飯を食べに行った。


その時、話したのは会社でも話すような普通の会話だ。


あれが美味しいだとか、これが好きだとか、出てきた料理についての感想だとか色々。


普通も普通。


平和な夜。


だけど、いつもより何故だか楽しい、充実した夜になったのだった。

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