第16話

「伊那君、ごめんね。助かったよ」


「なんのなんの~。困った時にはお互い様でしょ」


「うん。ありがとう」




資料を纏めつつお礼を言うと、伊那君は振り返ってニッコリと微笑んだ。



笑顔が眩しい。


草原とか晴天とか青い海とか、そんな清々しい言葉が似合う爽やかさだ。



ほんと無敵。


人当たりも良いし、仕事も出来るし、性格も明るいし、伊那君はTHE正統派って感じ。



私が黒なら伊那君は白。


真っ白。


誰とでも綺麗に混ざっていける。


濁すこともない、どす黒くもならない、描き出す絵はどの色と合わさっても優しくて暖かい色だ。



相手が私でさえも。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る