第53話

「あ…、マキちゃんも一緒?」


「う、うん」


「そっか。仲良いね2人」


「まぁね」




傍にやってきたクゲ君は私とマキちゃんを交互に見ると薄っすらと笑みを浮かべた。


マキちゃんはそんなクゲ君を色の無い表情で見つめてる。



異様な空気感。


何か…、ちょっと怖い。




「クゲ君…。どうしてココに?」


「あぁ、この後、近くでバンドの練習があるから。それまで時間潰しに」


「そうなんだ…」


「2人で何の話をしてたの?」


「別に。普通の、くだらない話だよ」


「そ?そのわりには深刻そうじゃない?」


「気の所為でしょ」



「ホント?なら良いんだけど。最近また俺の変な噂が流れてるから。ちょっと心配で」


「噂?」


「そー。俺がマキちゃんに借金を背負わせて、変な店に売り飛ばしたとか。そんな噂」




あり得ないよねー。とクゲ君は困ったように苦笑を浮かべると、イスを引っ張ってきて私の隣に座った。



ちゃっかりテーブルにコーヒーも置いて、自分も話に混ぜて欲しいらしい。

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