第22話

「あら、もう良いの?」


そう言った児島の腕を引き寄せて



直は耳元で呟いた。


ありがとう、と。



立ち去る直を背にしたまま、児島はたった今直が唇を触れさせた頬に指を這わせ

驚愕を隠せずに立ち尽くしていた。




溜め息を吐く。


彼の気質を知っている児島は

自分の望む様な特別な感情からの行為ではないと

理解しているから。



そうして児島は

自分の感情に言い訳をした。


理解はしていても、感情は別の次元に在るのだ。


…と。

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