第3話

◆颯太side.


「真ん中の、字余り、」

耳元で直が呟いたその吐息に、西田は思わず身を捩ってしまう。



なんで西田顔赤くなってんの?

そんな疑問を生徒達は口にするのも無理はない。



しかし現状は、もろアッチの経験が乏しそうな西田には羞恥プレイ状態だろう。



直の隣りの席で一部始終を見守っていた俺は

苦笑しつつも直に近付くと、その肩に手を添えた。


「はいはい直ちゃん、席戻っておねんねしましょうね。」


「頑張ったった、」

「頑張っちゃったか。どれどれ?」


俺は初めて見た様にノートを覗き込む。



「ごーしちご、しちしーち、」

「直ちゃんは発音も天才的ですね。

さ、座ってね。今みんな授業の時間だから。」

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