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「そういや、お前の婆さん。もう家に帰ってきてんの?」


「はい。お昼までに帰るって言ってたんで中に居ると思います」



視線を向けてきた先輩から1歩距離を開け、花が咲き誇る庭に進む。


乗ってきた先輩の単車は家の駐車場に停めたし、エンジンの音で来訪者が来たことにお婆ちゃまも気が付いているはず。



いきなり家の玄関で顔を合わせるよりは、お婆ちゃまが外に出てくるのを待っていた方が良さそうだ。



ご近所様の目がある分、大人しそうだし……と心の中で流れを計算。


私の後を付いてきた先輩から少し離れた場所で青い花菖蒲ハナショウブを眺める。



「……ずっと気になってたけど。お前、朝から微妙に俺のことを避けてねぇ?」


「避けてません。ただ、距離を開けてるだけです」


「なんでそんなに警戒してんだよ」


「だって先輩、怖いんですもん」


「は?」


「何もかも計算づくで。昨日だって、あんな……っ。徹底的にさせられると思わないじゃないですか」



心外だ、と言いたげな顔を浮かべる先輩を軽く睨む。



――♡――♡――♡――



昨日お風呂から出た後、寝室に移動して何だかんだ戸惑いつつ、怖気づきつつ、先輩のお願いを叶えたわけだけども。



さすがにコチラは全くの初心者。


“して欲しい”と言ったって、ちょっとだけ経験させられるくらいだろうと思ってた。



先輩だって軽いノリで手招いてたし、ビビリまくりの私にキスをして優しくゆっくり付き合ってくれてた。



なのに。


いざ始めてみればウルトラハード甘ドSに、1から10まで念入りに細かく徹底的に教え込まれた。



躊躇ためらう度に好きでしょうがなさそうな顔をして黙らせつつ、離れようとする度に頭を撫でて甘やかしつつ。



『可愛い、やばい、気持ちいい、好き、愛してる』のパワーワードを駆使して、鬼のように優しく甘くスパルタに。



中断することも許さず、ヤメることも許さず。



終始、事細かく指示を与えながら、先輩はひたすら私を可愛がって褒めちぎって、本当に最後の最後を迎えるまで永遠と行為を続けさせた。



いったい何故そこまで熱心に続けさせたのかは分からないけど、彼の中では素直に言うことを聞く私が堪らなかったらしい。



『お前、俺にこんなことが出来るくらい懐いちまったの』と、無駄に色気を放ちながら余裕たっぷりに笑われた。



そして可愛い、やばい、と髪に指を通して猫可愛がりしつつ。



『お前がこんなことをしてると思ったらエロすぎるから2人だけの秘密な』と独占欲を絡ませた約束までさせられた。



――♡――♡――♡――


そんな秘密を作らせる方がエロいと思うが、先輩は素直に頷いた私に我慢の限界を迎えるほど興奮した様子だった。



最後の最後までお強請りをして、大人しくやりきった私の頭を撫で回して『あー、もうマジで好きすぎて困る』と堪らなさそうな顔をしてた。



それはもう、あり得ないくらいのご機嫌っぷりで、その後は優しく気遣うように大切にじっくりと抱かれた。



本当に先輩の引き出しにはどれだけ中身が詰まってるんだろうと気になるくらい。


全身隈なく食べられ、メチャクチャ優しくスーパーハードなお返しをされた。




その所為か何をされても気持ち良くなってしまい、ある種、抜け出せない地獄のようだった。



永遠と快感を感じてビクつくことしか出来なくなっていた私に、先輩は『そんな良い?じゃ、家に居る間は毎晩しような……』と犯行予告のようなものをして終わりを迎えた。



その頃には完全に日が昇ってて、寝て起きたら既に夜。


全身が重だるい上に筋肉痛になってた。


先輩はやけにスッキリかつサッパリした様子で楽しそうに笑いながら私をテキパキと甘やかし、ご飯も食べに連れてってくれたし、夜景も見に連れてってくれた。



朝ご飯を作っても喜んでくれたし、好きなアニメがいつでも見れるようにもしてくれたし、正直に言ってかなりご機嫌でメチャクチャ優しい。


欲しかったものを全部2倍にして与えられてる。



だから別にいい。


別にいいけど、心も身体も完全にコントロールされていくようで怖い。


それに先輩から本気の欲をぶつけられて動揺してる。


嫌じゃなかった自分もちょっと怖いし。



何より恥ずかしい……。


あんなことやっちゃったと思うと恥ずかしすぎる。



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