第8話

忙殺と排他の街。その外れに

潰れてから長いこと放置されている古びた喫茶店が有ります。


ブラインドウは下げられたままで

新しい商売が始められる様子も有りません。




『やり直す事も書き換える事も無かったことにも出来ません。

ページが最後迄めくられた時

遡り過ぎて産まれた事まで無かったことに。


美しい所作で魅了して、あの方は栞など挟ませないのです。

騙されてはいけない。


どうか足を踏み入れないで。』



古びた喫茶店の前で

黒猫が懸命に忠告しましたが

何せ猫。



今日も嗚呼また一人、吸い込まれるようにドアに手を掛けます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る