第46話

芦田さんに意味深なことを突っ込まれてドキッと胸が高鳴る。




「いや、まぁ……」




返事に困る……。




違うと言えば違うけど、正直に“違う”って言いにくい。




俺の気持ちがバレる気がして。




「はっ。一生繋いでろ。俺は帰る」




健は小さく舌打ちをして、DVDが入った袋を掴んでソファから立ち上がった。



そのまま、振り向かずにドアの方に歩いて行く。




「健、帰るの?」




俺が声を掛けたら、健は振り向いて眉間に皺を寄せた。




「忙しいんだよ。俺は」




“俺は”の部分を強調して、健は再びリビングのドアに向かって歩いていく。




「えー。健、帰っちゃうの?」




「……あぁ」




「じゃ、あたしも帰ろーっと」




いつのまにか鞄を肩に引っ掻けていた芦田さんは、健の腕に自分の腕を絡まると俺にヒラヒラと手を振ってきた。

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