第44話

「なに熱くなってんだよ?祐希はお前の女ってことにしとけば問題ねぇだろ?俺の女じゃねぇなら狙われることもない」




「……うん」




確かに健の言う通り、それなら安全かも知れない。




「ま、俺にとって1番の敵はお前だけどな」




健はそう言ってニッと笑うと、再び公園の入り口の方に体を向けて、歩き始めた。




「……え?1番の敵?」




慌てて健の後を追って尋ねる。




「お前、祐希のことが好きなんだろ?」




「……好きだよ。祐希以外は考えられない」




「ふーん。じゃ、俺たち……ライバルだな」




そう言われてはっきりと気づく。




やっぱり……健も祐希のことが好きなんだ。




でも、ちょっとだけ安心した。




健も祐希のことが好きなら、2人は両思いってことだから。




「そう…だね」




強がって言い返した言葉。




本当はライバルなんかじゃない。



完全に俺の負けだ──。

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