お姫様

第1話

夕日で真っ赤に染まった住宅街の一角に佇む公園──。




当時5歳だった俺と祐希。




いつも遊んでいる見慣れた公園で




「わたし…お姫さまになれないから結婚出来ないのかな……?」




そう言って泣いていた祐希。




その泣いている顔に




胸がギュッと締め付けられて




同時に泣いている祐希は可愛くてドキドキして……。




「ゆきちゃんは…ぼくの…お姫さまだよ」




俺は祐希にキスをした。




この時にはもう祐希のことが大好きで。




祐希は俺にとってお姫様だった。




「大きくなったら……僕と結婚しよう!僕が王子さまになってあげる」




俺は祐希に誓った。




たった5歳の子供だったけど、俺は本気で祐希と結婚したいって心から思ったんだ。




でも、祐希は返事を返してくれなくて。




結局、祐希の返事を聞けないまま……。









俺たちは高校生になった──。

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