第七章 気持ち

第87話

篠田君と公園で別れて帰宅したら珍しくママが家にいた。




「珍しいわね。この時間に家にいるの。」




鏡台に向かって化粧をしていたママはチラっと私を見て小さく笑った。




「すぐに出て行くけどね。」




素っ気なくそう言ってまた化粧を始める。




「仕事忙がしいのね。パパもママも。」




「そうよ。パパもママも忙がしいの。」




ママはこちらを見向きもしないで応えた。




「ふーん。」




お互い忙がしいのね。




娘のことなんて気に出来ないくらい。




息が詰まる。




私はママがいる部屋から出て自分の部屋に戻った。

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