第34話

「行かないで……。」




衝動的だったのかも知れない。




急に寂しさに覆われてしまったせいかも。




いつも、こうやって裕也さんは私と2人っきりになるのを避ける。




その度に何も言わずにみていたけど………




今日は言わずにいられなかった。




「………。」




裕也さんは顔を背けた私を見ようともしてくれない。




「そんなに2人になるのは嫌ですか………?」




「………。」




「里恵子が嫌いだからですか?」



「………。」




「里恵子の気持ちは裕也さんにとって迷惑なだけですか………?」




「……正直、迷惑かな………。」




それまで口を結んで黙っていた裕也さんは言いにくそうに呟いた。




それは小さな声だったけれど、私には凄く重い言葉だった。

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