第17話

目を開けると部屋の中は薄暗かった。



いつのまにか寝てたらしい。



乱れているはずの制服は綺麗に整えられていた。



一瞬夢だったのかな?って思ったけど、違うってすぐにわかった。



隣に眠る雅史を見て。




「雅史……」




スヤスヤと眠る雅史の髪にそっと触れてみた。



サラサラと流れる髪にドキドキする。




私、本当に雅史が好きだ。



どうしようもないくらい。



離れたくないって純粋に思う。




いや、離したくないって言う方が正しいかも。




「……好きだよ…っ」




好きなの。



バカみたいに好きなの。



どうか離れていかないで。



ずっと傍にいて……。




「亜衣……」




ゆっくりと目を開けた雅史は私の名前を小さく呼んだ。



じっと見つめられて壊れてしまいそうなくらい胸が痛くなる。




「雅史……っ」




溢れる涙なんて関係なく、雅史にギュっと抱きついた。



苦しそうに眉間に皺を寄せた雅史の顔なんて見たくなくて。



でも、雅史は……。




「……こんなめんどくせーのもう終わりだ」




あっさりと残酷な言葉を告げた。

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