第16話

まだ微妙に明るさが残る時間なのに、ベットがギシギシと音をたてる。




下の階には親がいるのに。



いつ部屋の中に入ってくるかわからないのに。




そんなこと関係ないとも言わんばかりに音をたてる。




いつもの優しさと遠慮なんて微塵も感じさせないくらい乱雑に私の体を這う指も唇も全てが愛しい。




「……雅史……っ」




潤んだ瞳も切なげな声も全てが愛しいの。



名前を呼ぶ度に合わさる唇も



乱れた吐息も



ときどき細められる目も



全てが愛しい。



求められてるって実感する。




涙が溢れた。



悲しさからか嬉しさからかはわからないけど、勝手に涙が溢れる。




「……大丈夫か…?」




そんな私を見た雅史は優しく指で涙を拭って微笑みかけてきた。



それは、終わりだから?



それとも……。




「……大丈夫…じゃない…っ」




優しくしないで。



期待してしまうから。



本当に卑怯な男。




こんなにも夢中にさせて、本当に卑怯だよ。

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