言葉を言うなら"いい言葉"

第8話

噛みつくように重ねられた唇。



歯がガチっと音を立てて、余裕がないんだと実感させられる。




「んっ…待っ……」



「お前が俺のことを嫌いでも、お前のカラダは俺が好きなんだよ」




達哉はせっかく身に付けた洋服をまた乱暴に剥ぐように奪い去っていく。




「そんなことないっ」




嫌いなわけがない。私は達哉が好きだよ。



そう言いたいのに……。




「何だよ、それ。そんなに俺が嫌いかよ」




私の気持ちを知らない達哉は、押し潰されるんじゃないかと思うくらい強引に熱をぶつけてきた。




首筋に噛みついて、揺さぶって、好き放題に暴れてくる。



手首なんて締めつけられて折れそうだ。




正直、辛い。



でも、私なんかよりもっと辛いのは……。




「お前なんて本気で壊れちまえ」




話す余裕も与えないくらい私に依存する達哉の方で。




「心もカラダも全部壊れて一生俺のものになればいい」




苦しげに顔を歪めて本音を吐く達哉の方で。





「壊したきゃ、壊せばいい」




そう言ってやった。



偽り言を吐くのはもうゴメンだ。

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