第24話

「そう言えば聞いたよ。きょうちゃん、引っ越すんだって?」


「うん。来月にはね」


「付いていくの?」


「まさか。彼女でもないのに付いていくわけないでしょ」


「え?あんたきょうちゃんと別れたの?」


「いや、別れたも何も私ときょうちゃんはずっと友達だし」


「友達……?あやきょうちゃんが?噓でしょ?」



きっぱりと否定をした私にシバセンが驚いた表情を向けてくる。


目を見開いて、瞳を揺らして、まるで私が嘘を言っているんじゃないかと疑っているかのよう。


……と言うか確実に疑ってる。


「喧嘩でもしたー?」って何それ。


こっちの目が点だ。




「嘘じゃないって。本当に友達だから」


「えー、でも……。あたし、きょうちゃんからあやと付き合ってるって聞いてたんだけど……」


「冗談で言っただけでしよ」


「でもほら、あやだってきょうちゃんと付き合ってるか皆に聞かれた時、否定してなかったじゃない」


「それは否定したって何度も聞きに来られて面倒だから、適当に頷いておいてってきょうちゃんが……」


「言うからその通りにしてたの?3年間も?知り合い全員に?」


「ぜ、全員…?」


「そうだよ。きょうちゃんの彼女はあやあやの彼氏はきょうちゃん。それが地元民含め同じ学校の卒業生全員の常識。周知の事実なんだから」




目を見開いた私にシバセンは信じ難い話をあっさりと軽い口調で言った。


私達を知るほとんどの人が、そう認識している。寧ろ、知らない人の方が少ない。普通に会話の流れで恋人同士として出てくるもん……って何じゃそりゃ。



一体、どうなってんの。

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