第6話

どっちにしたって知らない人と話すのには抵抗がある。


元々人見知りだし、そういうのはお兄ちゃんが鬼のように嫌がるから。



最近、色々あってただでさえ口喧しいし、知られたら絶対に怒られる。



サクラもちょっと嫌そうだし。


ってかサクラが男だと気付いていないのかな?



まぁ、露出を控えめにして完璧に女装をしてるんだから、気付かなくて当たり前かも知れないけど。




「暇?」


「忙しいです」


「冷たいな〜」


「すみません。知らない人とは話すなと言われてるんで…」


「大丈夫。もう名前を言ったから知り合いじゃん」


「はぁ…」


「向こうに妹達も居るしさ。暇だったら俺らと遊ぼ」




クゲ君は人懐っこい笑みを浮かべると「行こ」と私の手首を掴んだ。



サクラが「あー!連れて行かないでよっ」と水を掛けたが、クゲ君は楽しそうに笑うばかりだ。


全然、怯んでいない。

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