第13話

君のお通夜。



今日は君が大好きだった雨が降っていて。



嫌でも君の暖かい唇を思い出す。



信じたくない。



嘘だと夢だと言ってくれ。



辛くて、辛くて、辛くて



俺は親戚に一言告げて、傘をささずに外に飛び出した。



雨に濡れている。



でも、冷たいだとか寒いなんて感じない。



まるで感情を失ってしまったかのように。



俺はそのまま雨に打たれて泣いた。




悲しさを流して欲しい。



俺は絶望としか言えない感情で埋めつくされていた。



「ニャー」



そんな俺の足に一匹の黒猫がすり寄ってきた。



まるで俺を慰めるかのように。

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