第10話

昭太の笑顔が子供の頃から大好きだった。




「ほら、早く行かなきゃ」



「そうだな」




勝負が好きな昭太が心の底から大好きだった。




「直ぐに着替えて」



「わかった」




きっと、これからも悔しいくらい大好きだと思う。




「じゃあ、行こっか。真梨」



「うん……」




いろいろあった25年間。



やっぱり別れは寂しいけど、もう迷わない。



あたしは、きっぱりと別れる。




この玄関を抜けたら、もうお別れだ。




「待って、昭太……」



「何?」







「婚姻届は?ちゃんと持った?」




今日、あたしは “宮城” に別れを告げて “佐野” になる。




fin

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る