第78話



「カンナちゃん。少し落ちつきなさい」


「でも…、でも…っ」


「試作のマドレーヌがあるんだけど。良かったら食べない?」


「……食べる」




ダメ元で聞いてみたらカンナちゃんは少し落ちつきを取り戻した。


しくしくと泣きつつだけど、さっきよりは随分とマシ。


さすがあたしの作ったお菓子ね。


泣き止ます魔法も持ち合わせてる。




「それで?そんなに泣いてどうしちゃったのよ」



目に涙を溜めながらも自主的にマドレーヌを口に運び出したカンナちゃんに事情を尋ねてみる。



するとカンナちゃんの目から再び涙がポロリ。



焦ったあたしは慌ててチョコケーキも差し出す。



危ない、危ない。


また降り出しに戻るところだったわ。




でも、皆、心配しないで。


あたしは出来るオカマだから。




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