第73話

「付けた?」


「あぁ」


「似合う?」


「いいんじゃねーの」


「そこは可愛いって言ってよ」


「可愛い、可愛い」


「適当に言わないで」



付けてもらったネックレスを見ながら拗ねたように言えば、ショウは口の端を上げて「本当に思ってるって」と私の頭を撫でた。



かと思えば、既に背中を向けて到着したエレベーターに乗り込もうとしている。




だから行動が早いのよ。


いい加減にしなさいよね、と慌てて追いかける。




ほんと優しいかと思えば自分勝手なんだから。


でも、その後、ずっと手を繋いでてくれたからやっぱり憎めない。



“しょうがねぇな”って呆れたように笑って、だからその笑顔が好きなんだってば。



これだからこの男は狡いのよ。


絶妙なタイミングで欲しいものばかり差し出してきて。


そんな風に愛情を注がれたら、やっぱり好きだとしか思えないじゃない。




to be continued


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