第67話


「それで、いきなりカンナから私たち付き合ってるとか言われてさ。心底ビビったわ」


「へぇー、そう」


「否定したら泣きそうだし、泣いたら親父にぶん殴られそうだし、マジでどうすっかなって内心修羅場だった」


「ふーん…」




ケラケラ笑いながら言われ、思わず冷たい声が出た。


夢の話か何か知らないけど、さっきからカンナ、カンナってね、本当に煩いのよ!


大体ね。あの子と付き合う夢を見たってそれ、あなたの願望じゃないの?



改めて好きだとは言ってくれたけど、やっぱり本当はあの子のことが好きなんじゃない?と疑ってしまう。



「そこでナオが出てきてな……」


「もういいから、その話は」


「は?ここからがメインなのに?」


「いい。違う話がしたい」



映画館の入っている商業施設のドアを開けて頑なに首を横に振る。


不満そうな顔をされたけど、徹底拒否。


その話は聞きたくない、の一点張り。


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