第53話

「もう出よう」



「今、入ったばかりじゃない」



「いいから早く」




状況を変えるべく、急いで立ち上がった俺にサナは渋々と帰り支度を始める。



飲みきってねーとこ悪いと思うけど、我慢出来ねーし。



今日は絶対、暖房の掛かった店には入らねー。




「早くコートを着ろよ」



「嫌ヨ。お店を出るまでは着ない」



「はぁ?」



「いつもいつも女の子に囲まれてデレデレしてる仕返しヨ」



「えー」



「お店を出るまでの間、思う存分、妬きなさい」




歩き出した俺の後ろでサナが心の中を見透かしたようにクスクスと笑う。



くっそ。分かってたのかよ。



だったら早く隠せよな。



堂々と見せやがってー。



やっぱり悪魔だ。こいつ。



誰だよ、こいつのこと天使とか言ったやつ。



今すぐ出て来い。




「ねぇ、アヤト」



「何?」



「大好きヨ」




拗ねる俺に笑顔を振り撒くサナ。



修正。俺の彼女はやっぱり天使だ。



to be continued

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