第39話

驚きのあまりリップが手から滑り落ちる。



そのリップがフローリングの上を転がって、本棚にコツンとぶつかった頃には、既に体がナオの膝の上に乗せられていて。




「え?なっ、えっ?」



「嫌?」



「い、嫌じゃないけど…。ダメだよっ」




そう。ダメだよ。



オバサン達がリビングに居るのに。



しかも、いつ部屋に来るかわからないし……。



そう困惑する心は置き去りに、伸びてきた指はシャツのボタンを取り外しに掛かってて、中に潜り込んできた手はあっさりと胸に触れる。



いやいやいや。





「ダ、ダメだってばっ。オバサン達にバレちゃう」



「カンナが静かにしてればバレないよ」





焦る私の肩にキスマークを付けながら、ナオは平然とした顔でサラッとムチャ振りをしてくる。



静かにしてればって……無理だよ。



出来る自信がない。

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