第11話
「……抱っこ」
「は?」
「抱っこして?」
「…………」
「ね、ナオ……お願い」
「いや、ナオじゃねーし」
半ばずっこけそうになりながら、シャツを無理やり引っ張ってカンナから離れる。
クソッ。俺の純情とトキメキを返せ。
俺に強請ってきたのかと思って一瞬ドキっとしたつーの。
酔っ払いのテンプレートみたいなことしてんじゃねーよ。
ばーか。
だいたい、こいつはいつもそうだ。
昔からナオにばっかり甘えてさ。
男扱いされないってことはねーけど、ふとした瞬間に年の差を感じさせられる。
お前、俺にはそんな風に甘えたことなんか1度もねーくせに。
若干イライラしてくる。
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