第2話監獄島その1

彼が、監獄島に現れたのは風の強い日であった。強風が感じていないのか、髪の毛も揺れていなかった。

ここは監獄島と呼ばれる、太平洋の真ん中に突如現れた。孤島である。いつ現れたのかを知る者は居ない。半径5キロ程の大きさの島はその名の通りの島その物が巨大な監獄である。何故か島は大きく南北に2つに別れていた。それは、壁ではなく、高く太い木々の森であった。

行き来は出来るが何故か難儀をしてしまう。わざわざ越えるものは居ない。


その彼は木々の森に消えていった。

その口元には静かな笑みが浮かんでいた。


「アイツ、どこ行くんだ」

「それより、こちらか‘’向こう‘’かだよ」

「その謎は‘’ヤツら‘’も一緒のようよ」

青年3人と女性が1人が森に消えていった。

森に消えていた少年を4人は木の上から、まだ幼い少年を目で追いながらも、森の反対側にも、意識をとばしていた。

森の反対側には、4人同じくらいの1人背の高い男性と背の低い女性の2人が立っていた。


「どうやら、あの少年がこの島に風を起こすかもな。ロレーヌ」

青年の言葉に、ロレーヌと呼ばれた女性は一瞬、青年に視線を向け、少年が消えた森を見つめた。

「私はもう少し、あの子をおってみるわ。ミハルは一度戻ってみて」

ミハルはロレーヌに無言で頷くと、一瞬で消えていた。消えたミハルとロレーヌは似た白い服を着ていた。それは先に消えた4人にも言えるが、色こそ、黒と違うが似た服装であった。双方とも、色違いツナギと言えるところだ。

ロレーヌは少年が消えたあたり立つと、探すようなふりをした。

「何か用ですか?」

いつの間にかそこには、あの少年が立っていた。不意の言葉であったが、ロレーヌは驚いた様子はない。

「用って程じゃないけど、貴男に興味が出てね。名前なんて聞いてもいい?」

ロレーヌはいわゆる、美人なお姉さんといってまちがいまい。少年はそういう事には興味が無いらしい。

「そうですね。マヤとだけ名乗っておきますよ。もう一つだけ、私は貴方でも、其方方でもありませんよ。」

そう言うと、大木の影から、黒いツナギを着た青年が現れた。それは4人組の中で一言も発しなかった青年であった。

「ヤナギ、相変わらず隠れるのが得意ね」

「そうだな。まさかバレるとは思わなかったよ」

ヤナギと呼ばれた男は静かに呟いた

「今日はここまでにしませんか?」

マヤはそう切り出すと、会話を終わらすように、歩き出した。

ロレーヌもヤナギもマヤを引き止めたかったが、三竦みで動けなくなり、マヤが森の中に消えていった。



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