第9話
もう嫌だ。浮気ばっかりで全然あたしを愛してくれない。
こんなの彼女って言えないよ。
「おわっ…、危なっ……」
廊下を走っていると焦った叫び声と共にポフッと柔らかい感触に包まれた。
目に映ったのは白いシャツの隙間から覗く鎖骨。
血管が浮き出た逞しい腕。
男の身体……?
「……優太?」
顔を上げたあたしの目の前に居たのは、驚いたように目を見開く優太だった。
「前、見ろよ。危ないし」
そう言って優太はコツっとあたしの頭を叩く。
悲しみの大絶頂に居たあたしは、どうやら優太とぶつかってしまったらしかった。
そう優太と……。
「うわぁぁぁーん! 優太ぁぁぁ」
もう堪えられずに、あたしはそのまま優太の胸の中で思いっきり泣いた。
「え? おい、どうした?」
「あたし……、あたし……、もう無理だよっ! 優太…っ。 今すぐ抱いてぇぇぇー!」
「えぇっ? ちょ、おまっ……、何言ってんだよ。 バカ」
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