one sweet

第1話

蝉が鳴き始めた7月中旬。



もうすぐ夏休みだと浮き足立つ校内で。




「夏の行事は全部パス」




残酷なまでに呆気なく言い捨てられたこの言葉。





「納得出来るかあぁぁっー!」




そう叫んだのはあたし、桃山梨花ももやま りか16歳。




世間一般で言う、花の女子高生。




そんなあたしに残酷な言葉を吐き捨てたのは、里田啓介さとだ けいすけ



サッカー部所属。




顔は猫目で鼻が高い。



身長も高い。




俗に言うイケメンってやつ。



で、超軽い。




そして、あたしの彼氏……。





「しゃーねぇだろー。もう、予定を詰め込んじまったんだから」




そう言って煩わしそうにズボンのポッケに手を突っ込み、顔を歪めてあたしを見つめる啓介。





……うん。





超がつくほど不愉快極まりない。

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