第20話
「とにかく気を付けろよ」
「分かった」
「じゃあな」
「え、帰っちゃうの?」
「まぁ…。用も済んだし」
好きな気持ちでいっぱいになっていた最中、いきなり背中を向けられて寂しさが押し寄せる。
いつものことなのに、いつもとは何だか違う気持ち。
しかし、蓮くんは振り返らずにマンションに戻っていく。
「待って!」
寂しくなって思わず呼び止めてしまった。
一緒に居たい気持ちが溢れて止まらない。
怒るかなと思ったけど、蓮くんはいつもと変わらない顔で振り向いた。
「何?」って。
何となく振り向いてくれないと思っていたからビックリ。
願いが叶ったような不思議な心境に陥る。
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