第18話
そう。昨日、図書館に本を返しに行く途中、近所のオバサンに絡まれて掃除を手伝わされた。
時々、顔を見掛けるオバサンで、その日は家の前の道路を箒で掃除していた。
だから『お掃除ですか?頑張って下さい』と挨拶を交えながら言ったんだけど、それがイケなかったらしい。
『あら。頑張って~ってなーに?あなたもここを通るんだから、たまには掃除くらいしなさいよ』と箒を持たされ、気付いたら何故か私がオバサンの代わりに掃除をしていた。
それは別にいいんだけど、次第にアレもコレもと内容が増えていき、最終的には私1人でオバサンの家の庭掃除と窓拭きまでやるはめになっている始末。
何かおかしい…と気付いたのは辺りがすっかり真っ暗になった頃。
急いで図書館に向かったけど、着いたのは閉館ギリギリで慌てて本を返したら『もっと早く来て下さい』と図書館員さんに軽く怒られてしまった。
罠なのか罠じゃないのか…。
オバサンが放った『あたしの若い頃はそこで一言、お手伝いしましょうかと自らから気を利かせて言ったもんだけどね』って決め台詞が耳に残る。
「掃除当番がサボれてラッキーだった、ってオバサンが皆に言いふらしてたぞ」
「えぇ…」
「俺の彼女なんでヤメてやって下さいとは言っといたけど」
「あ、ありがとう」
狼狽えつつもお礼を言うと蓮くんは小馬鹿にするように鼻で笑った。
少しは成長しろよなって。
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