第17話

「今の…、何?」


「スリだろ」


「スリ?」



なんで分からないんだと言いたげな顔を蓮くんに向けられ、目を見開く。



スリって本気で?あんなお爺さんが?私に?そんな事ってあるの?


思ってもみなかった展開に頭の中がパニックだ。



詐欺には何度か引っ掛かったことがあるけど、スリは初めて。



ビックリ。



「本当に次から次へと。よくそんなに引っ掛かるな…」


「だって困ってたし」


「だからってお人好し過ぎだ。昨日も近所のオバサンに掃除を手伝わされていただろ」


「あれ?よく知ってるね」



“ははっ”と苦笑いを零した私に蓮くんはほとほと呆れたように目を細める。

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