第4話

「やだ。もうすぐ卒業だし、蓮くんと一緒に帰りたい」


「別に卒業したって一緒に帰れるだろ。同じ大学だし」


「そうだけど…」


「とにかく今日は付いてくるな。バイトだから」


「えー…」


「俺じゃなくあっちと帰れって」




引かない私に蓮くんは鬱陶しそうな顔をする。


早歩きで去って行こうとして置いていく気満々だ。



本気で嫌がっているのかな…?



一瞬、追い掛けるのを躊躇う。


だけど、やっぱり諦めきれなくて後ろから小走りで追い掛けた。




「お願い。曲がり角のところでバイバイするから」


「そう言ってバイト先まで付いて来るだろ」


「行かないって。約束する」


「本当だろうな?」


「本当に!」


「約束しろよ。あの辺、治安が悪いし、1人で彷徨うろついたりしたら…」




下駄箱の前。靴を履き替える私の隣で蓮くんは不貞腐れた表情でブツブツと呟く。


友達と帰ればいいのに、って相変わらず機嫌が悪そうに。

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